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るたろぐ

20歳。地理、政治、まちづくり。

北名古屋市が名古屋市と絶対に合併できない理由。

地理 政治・選挙

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北名古屋市長が今月(2016年9月)頭に名古屋市への合併を検討すると表明した。

長瀬市長は取材に「東海豪雨を経験して防災面でのスケールメリットを感じた。市民を守るためには一定程度の行政規模が必要だ」と理由を説明。合併の時期については4、5年以内を念頭にしているという。

この手の話題は平成の大合併から10年の歳月を経てもしばしば出てくるから面白い。大合併当時には西枇杷島町(当時。現在の清須市)が名古屋市に合併を申し入れたこともあったし、最近でも大治町(2012年頃。前町長が合併に前向きだった)や蟹江町(現在も議会会派レベルで合併に前向きな勢力が健在。現町長も広域連携には積極的)が名古屋市との合併を目指した、あるいは目指している状況である。

 

あえて所感を述べれば、個人的には好ましい動きであろうと考えている。以前の記事平成の大合併が遺した問題点についてはさまざま検討したが、大半の問題は合併のメインフィールドが地方であったにも関わらず、行財政改革という都市の論理が別け隔てなく押し通されたことに由来するものだから、都市間競争が激化する中で行財政改革という大命題を誠実に遂行するという観点では、都市部での合併はむしろもっと推進されても良かったのではないかと思っているためだ。名古屋市の河村市長もこの件について「人口が多いと都市の力も強くなる」と述べているが、平成の大合併を経てもなお名古屋市の周囲に比較的小規模な自治体が散在していることを考慮すれば、まだまだスケールメリットを享受する余地が残っていると考えることができる。

 

ただ、現実問題として名古屋市が周辺自治体、とりわけ西部ないし北部の自治体を合併するには高いハードルが待ち受けている。名古屋市が最後に周辺自治体を編入したのははるか50年前、1964年の知多郡有松町と大高町(ともに現在の緑区)の編入にまで遡るし、平成の大合併で編入を経験した中の最大都市は当時人口約146万の京都市までである(北桑田郡京北町を編入、現在の右京区)。合併話を持ちかけられた張本人である名古屋市幹部も「合併のメリットを確認しなければ」*1と慎重な姿勢を隠さないのは、直近に前例のない三大都市の一角が絡む合併構想であるからだろう。合併を避けたい思惑が見え隠れするのも無理はない。

 

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北名古屋市名古屋市と合併できない最大の理由は下水道普及率にある。上の図は名古屋市とその周辺自治体の下水道普及率*2である。そもそも愛知県は名古屋市という大都市を抱えているにも関わらず、全体の下水道普及率が低い(愛知県:72.9%、全国平均:75.8%、平成23年度)のだが、名古屋市の普及率が99.0%に及ぶため名古屋市を除けばその普及率は61.7%にまで下がる。その中でも、この図を見れば一目瞭然なように、この間、名古屋市に合併を申し入れた名古屋市西部や北部の自治体は際立って普及率が低い状況だ(北名古屋市:32.8%、蟹江町:31.2%、大治町:10.1%、清須市:0.0%など)。

 

名古屋市は目下、下水道の完全普及に向けて港区の南陽地区や守山区の志段味地区といった下水道未整備地区を解消するために整備を続けている状況で、仮に合併が成立すれば、名古屋市は下水道未整備地区を一挙に抱えることとなり、目標から大きく後退することになる。市幹部が「交通網や福祉などの差が大きく平準化には多額の費用が必要」と語ったように、名古屋市としてはわざわざ域内格差を広げ、その解消に多額の財政支出を伴う合併は排除したいのが実状だ。現に、1963年の守山市(現、守山区)合併前後には域内格差解消のために多額の財政支出を余儀なくされており、そのネガティブなインパクトは以降50年にわたる合併の行われない状況を生み出しているというわけだ。

 

北名古屋市にとっても合併によるデメリットが無いわけではない。現在、北名古屋市市議会定数は21で名古屋市の市会定数75(次回選挙からは68)の約3分の1だが、その人口は約8万4000人で名古屋市の約230万人の約27分の1だ。北名古屋市名古屋市と合併して単独の区になるとすれば、その人口比がそのまま定数に適用されるとなると定数は3にまで減る。某大阪の地域政党もビックリの定数9割削減である。私はかねてより大都市の市会定数は削減してむしろ事務局の定数を増やせ論者なので定数削減は一向に構わないのだが、それでも一気に削減となると住民の声をキャッチする受信帯域が一挙に狭まり、地方自治の本旨が果たせなくなる可能性は否定できない。

 

このような事情を総合的に勘案すると、北名古屋市名古屋市の合併は恐らく成立しないだろうという結論になる。しかしながら実際のところ、面白い合併話であることは否定できない。仮に合併が成立すれば、多額の財政支出が伴いながらも市バス路線が整備され、下水道の未整備地区解消に動くことは間違いないし、そうなれば北名古屋市域の人口は恐らく急速に伸びるだろう。

 

先日、名古屋が国内主要都市の中でもっとも「魅力に欠ける」都市であるとのイメージ調査が発表され、名古屋市民は同調したり意気消沈したり草生やしたりしている所である。「北名古屋」が合併を経て名古屋の新たな都市イメージを喚起させるフロンティアとして転入者の開拓に切り込められれば、少なくとも名古屋城の木造復元なんかよりよっぽど現実的なイメージアップに繋がる気がするのだが、現実的にはまあそれも、そもそも北名古屋だし・・・(クソみたいな締めで申し訳ない)

 

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