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るたろぐ

20歳。地理、政治、まちづくり。

僕の山崎亮さんとの出会いと『ふるさとを元気にする仕事』

まちづくり 書評 地理

http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE

 

山崎亮さんとの出会いは意外な所にあった。僕が17歳の秋口だったか、地元名古屋は円頓寺の商店街を歩いていたとき、その日の夜にJCのシンポジウムがあることをシャッターにぽつんと張られたポスターで知って、湯浅誠さん見たさに足を運んだのが最初だった。当時からまちづくりの理論家・実践家といえば西郷真理子さんや藻谷浩介さんの名を挙げられたが、山崎さんの名前を目にしたのはそれが初めてだった。

 

彼の話術は狡猾だと思う。「3分に1度は笑いを取るよう心がけている」と最初に暴露されるのだから、こちらだって身構えてしまう。しかし、それでも彼の話しぶりに引きこまれていく。そうやって僕は山崎亮という人間のファンになって、『コミュニティデザイン』(学芸出版社)や『コミュニティデザインの時代』(中公新書)、『まちの幸福論』(NHK出版)といった彼の著書を読み漁るようになった。

 

18歳の夏になって僕は山崎さんとの再会を果たした。彼が学科長を務める東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科の「合宿」に参加し、ワークショップの実践体験の機会を得たのがそれである。最終日、山崎さんを囲んで食べた夕食の場で僕が「山崎さんと同じ愛知出身なんです」と切り出すとすかさず教えてくれたのは細井平洲という人物の話。彼の出身地である東海市の偉人だ。経世済民を信念とした細井の教えは山崎さんの活動に通ずるものがある。地元に戻った僕は山崎さんと藻谷浩介さんの対談集である『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』(学芸出版社)を読んでそう思った。

 

 『ふるさとを元気にする仕事』(ちくまプリマー新書)には次のようにある。

 みなさんは「経済」という言葉の意味を説明できますか? 「お金」に関係していることと考えた人もいるかと思いますが、語源になった經世濟民とは、「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」という意味です。決して「お金」の動きを表しているわけではありません。

こうした「経済」の考え方はまさに細井が目標としたところであり、山崎さんもマネーゲームだけに依拠しない働き方がこれからは求められているとしている。日本全体の人口が減少に転じる中、都市にばかり人口が偏在し農村の人口は急減する一方である現在、中山間離島地域での人手不足が国土の荒廃に直結するということは僕自身もこのブログの中で警鐘を鳴らし続けていることだが、人口減少先進地たる中山間離島地域でのこれからの働き方、ひいては生き方の可能性を探ることこそ、この国の豊かな未来を切り拓いていく手立てとなるということだ。

日本のふるさとには世界が求める答えがある、と言ったら大げさでしょうか? 僕はちっとも大げさだとは思っていません。なぜなら、世界に提示できる答えをすでに導き出しつつあるふるさとが、日本にはいくつもあるからです。

 

山崎さんが2005年に設立したStudio-Lは、そんなふるさとで人と人とがつながるソフトの仕組みを修理したり再構築したりするコミュニティデザインを掲げる会社だ。山崎さん自身、その働き方を2つの「ふるさとの担い手」のうちの1つ、としている。

僕たちは、相談を受けた課題に対して解決策を提示するコンサルタントではない。課題を解決するためのソフトを、課題を抱えている人たちの力を引き出しながら構築するデザイナーなのです。 

コミュニティデザインの役割とは、地域が主体的に課題を解決する力を引き出し、自走させること。これまでのコンサルタントのように「計画づくり」を地域から丸投げされてしまっては成り立たない。だからこそ、コミュニティデザインのスキルというのは、計画と実行のいずれをも地域に主体的に担ってもらうために振り向けられるのだ。

「もう自分でやっていけるから、あんたたちは必要ない」

地域の人たちから必要とされなくなること――それが僕たちの手掛けるプロジェクトの最終目標なのです。

 

もう1つの「ふるさとの担い手」とされるのが、ふるさとを元気にする主体となる実践者。山梨で農村起業を実践し『日本の田舎は宝の山―農村起業のすすめ』(日本経済新聞出版社)を著した曽根原久司さんの名が真っ先に思い浮かぶが、彼が農村資源を「宝の山」と形容したように、中山間離島地域には都市部にはない魅力がたくさんある。そんなふるさとに関わりながら自分の働き方、生き方の可能性を探ることも、魅力ある地域づくりに資するということだ。

必要なのは、自分が暮らしているまちの魅力を探り、人と人とのつながりの中でみんなが共有できる楽しさを創造していく力です。 

 

『ふるさとを元気にする仕事』には、これからのふるさとでの働き方、生き方を探るために必要なエッセンスが積み込まれている。それは先人たちから学ぶ教養や理論でもあるし、「ふるさとの担い手」から学ぶ実践の手法でもある。経済成長だけに囚われない、この国の豊かな未来をデザインする主役となるための取っ掛かりとして僕は極めて有用な本だと思ったし、特に同世代の皆さんには一読を強く推奨したい。

 

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